休校の1学期【成績】はどうなるの?
コロナウイルスによる影響が小さくなり、各地で休校の解除が決定されています。
6月から通常授業を行う学校が多いですが、皆さまの学校はいかがでしょうか。
今回は、休校期間が含まれている1学期の成績についてお伝えします。
目次
休校中課題は成績に入るのか
4月の初めに、文部科学省から次のような通知が各学校に出されています。
(2) 学習評価への反映
新型コロナウイルス感染症対策のための臨時休業等に伴い学校に登校できない児童生徒に対しては、指導計画等を踏まえながら家庭学習を課し、教師がその学習状況や成果を確認し、学校における学習評価に反映することができること。
家庭学習の学習状況及び成果の把握に当たっては、例えば以下のような方法が考えられるところであり、児童生徒の発達の段階や活用する教材等を踏まえて、これらを適切に組み合わせて行うこと。<学習状況及び成果の把握の方法の例>
・ワークブックや書き込み式のプリントの活用
・レポートの作成及びそれに対する教師のフィードバック
・ノートへの学びの振り返りの記録
・登校日における学習状況確認のための小テストの実施教師による確認については、電子メールやFAX等を通じた提出、パソコンやタブレット端末等による個別学習が可能なシステムによる学習履歴の確認、テレビ会議システム等を活用したオンラインでの確認、登校日や学校に登校できるようになった後における対面での学習状況の確認等を通じて行うことが考えられること。
文部科学省
「新型コロナウイルス感染症対策のための臨時休業等に伴い学校に登校できない児童生徒の学習指導について(通知)」
https://www.mext.go.jp/content/20200410-mxt_kouhou01-000004520_1.pdf
早い話が、休校中に出された宿題や課題も、点数化して成績に入れていいですよということです。
実際に、わたしが勤めている学校でも、休校期間中の分は「課題点」として成績に入れることになっています。
ただ、これは学校裁量なので、すべての学校で成績に入るというわけではありません。
たとえば、そもそも課題が出されていない場合、評価の材料になる物がないため、点数の付けようがありません。
また、平等性や公平性に欠ける課題も、点数化するのはマズいので、成績に入れることはしません。
こうした状況にある学校や教科においては、1学期の期末テストの点数が成績に大きく関わってくると言えるでしょう。
成績に入れるものとは
教員が、成績をつけるときに注意していることは、公平性・平等性です。
たとえば、あるクラスでは かんたんなテスト、別のクラスでは難しいテストで1学期の評定が決まるとしましょう。
すると、後者のクラスでは「不公平だ」という非難の声が上がるはずです。
ここで言う「同じテストを受けること」が公平性・平等性にあたります。
では、今回のコロナウイルスによる休校中課題はどうでしょうか。
先ほど紹介した文部科学省の通知をもう一度見てみましょう。
<学習状況及び成果の把握の方法の例>
・ワークブックや書き込み式のプリントの活用
文部科学省
・レポートの作成及びそれに対する教師のフィードバック
・ノートへの学びの振り返りの記録
・登校日における学習状況確認のための小テストの実施
「新型コロナウイルス感染症対策のための臨時休業等に伴い学校に登校できない児童生徒の学習指導について(通知)」
https://www.mext.go.jp/content/20200410-mxt_kouhou01-000004520_1.pdf
みな平等に数値化できる「物」が必要だということがお分かりいただけるはずです。
いわゆる、学んだ証拠となる物が成績をつける際に必要なのです。
教員は、保護者の方からのクレームに備えるため、成績をつけるための材料を手元に残しています。
材料というのは、単にテストの点数の控えだけでなく、授業プリントやそのコピーなどを有しているということです。
わたしが まだ学生だったとき、同じクラスの子 Aさんの親が
「うちの子は、なんでこんなひどい成績なの!?」
と担任の先生に文句を言ったそうです。
その担任の先生は、わたしの親と知り合いだったので、この話をこそっと聞きました。
その先生が言うには、評価基準や評価方法、その証拠を提示したことによって、Aさんの保護者さんは言葉を失ったそうです。
そして、同じクラスにいたAさんは、この一件の後、早々に転校してしまいました。
そのころ、担任の先生は と言うと、「クレームで心が折れるかと思った…」と、おっしゃっていました。
子どもの評価は、教員が必ずやらなければならない仕事ですが、こうした騒動につながることがあるのです。
教員というのは、心労が絶えませんね。
こうしたクレームに できるだけ対抗するために、先生方は証拠にできる物を 主に成績に入れるということです。
課題点の割合は小さいのか
では、コロナウイルスによる休校措置で、学校に行くことができなかった分の評価はどうつけるのでしょうか。
ここからの話は、あくまでも一例としてお伝えします。
どの学校も今から記す数値通りに成績をつけている という訳ではありません。
まず、休校中に課題が出ていたところについてお話します。
この場合は、出された課題が1学期の評価に加味されるでしょう。
しかも、その割合は、小さくないと考えられます。
なぜなら、考査の点数の割合が小さくなるからです。
コロナウイルスによる影響がまったくなければ、ふつうに1学期の中間考査があったはずです。
一般的に、1学期の成績をつけるときは、この中間考査と期末考査の点数を1:1の比率で数値化します。
さらに、そこに授業中の態度や課題提出などを点数化した数値(平常点)を足します。
中間・期末考査が両方とも100点満点のテストで、仮に平常点が50点であるなら、
中間考査100点+期末考査100点+平常点50点=250点満点
となり、1学期の成績は、250点満点のうち、どれだけ点数がとれたか で、つけられることになります。
そうであるとするなら、1学期の成績における考査の点数の割合は、何パーセントになるのでしょうか。
計算してみると、1つの考査で40%、中間と期末を合わせると80%にもなります。
しかし、今回のように、中間考査がなかった場合、話は変わってきます。
1学期の考査は、中間考査がなく、期末考査しかありません。
とくに小テストが行われなかったとすると、点数をデータとして得られるのは、期末考査1回分だけということになります。
そこに、先ほどと同じように平常点50点を足します。
そして、課題点を50点満点として数値化したとすると、次のように計算できます。
期末考査100点+平常点50点+課題点50点=200点満点
このとき、考査の点数が成績に占める割合は50%にしかなりません。
中間考査がある場合は、考査の点数が80%もありましたが、中間考査がないだけで、30%も低くなります。
ちなみに、課題点は全体の25%を占めます。
つまり、2回の考査で8割がた成績が決まっていたものが、1回の考査で5割程度しか決まらないということになります。
早い話が、休校中の課題をおろそかにしてしまうと、痛いということです。
だって、課題をやって提出するだけで、成績全体の25%分もゲットできるのですから。
テストが嫌な方にとって、これほどおいしい話はありません。
もし、まだ休校中の課題をやっていなかったり、提出できていなかったりする場合は、できるだけ早く出すことを勧めます。
次に、課題提出だけでなく、小テストも実施される場合について紹介します。
もし、休校が明けてから小テストがあるのであれば、その点数も成績に入ると考えられます。
中間考査の代わりでない限り、期末考査と同じ100点分も小テストを用意することは あまりないと考えます。
ただ、「テスト」という名がつくものは、成績に入る可能性が高いです。
気合を入れて臨むのが良いと考えられます。
このほか、学校独自で行っている学習指導に合わせた評価規準や評価方法がある場合があります。
繰り返しになりますが、ここで紹介した成績のお話は、あくまでも一例です。
学校ごとで評価の付け方は違いますので、参考までにとどめておいていただけると幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。