コロナウイルス【失われた学び】を取り戻すには

学校が再開すると、お子さまが休校中に取り組んでこられたことが明確な差となって表れます。

とくに学力は、勉強しなかっただけで低下してしまうおそれがあります。

これを防ぐために、塾を無料で活用しませんか?

 

コロナウイルスによる教育の機会損失

昨今、巷を騒がせている「コロナウイルス」によって、全国の学校が休みになっています。

急なことで慌てる親をよそに、子どもは家で好きなことをしている…。

気楽でいいものです。

 

しかし、そうも言っていられません。

何といっても、学年末の学習内容を学ぶことができていないからです。

個人的に、子どもたちが受けるコロナウイルスによる影響は、今後、さらに大きくなっていくのではないかと予想しています。

2020年3月7日現在、休校措置は、春休みまでとなっています。

しかし、世界の状況を見てみると、春休み明けから授業が通常通り行われるのかは定かではありません。

もし、来年度の授業が通常通りに行えないとなれば、さらなる教育の機会が失われるのは言うまでもありません。

これが長く続くほど、子どもたちにとっては不利になってしまいます。

親としては、できるだけ勉強させてあげたいという気持ちが強いことでしょう。

では、学校以外で勉強させるためには、どうサポートすべきなのでしょうか。

 

授業は学校以外でも受けられる

授業を受けるだけであれば、学校以外の場所でもできます。

現在、全国の学校が休みのため、無償で授業動画を配信している企業があります。

ネット環境が整っていれば、そうした無料の動画を見て、授業を受けることはできます。

ありがたいですね。

 

ただ、こうしたネット配信型の授業にも、デメリットがあります。

直接 人と話すことはできないということです。

授業を受ける子ども側からすれば、質問したいことの一つや二つは出てくることでしょう。

しかし、質問することができず、淡々と授業は進んでいきます。

早い話が、分からないまま、次の学習内容に進んでしまうということが起きかねないのです。

 

また、授業をする側からしても、授業を受けている子どもと話ができないのはツラいです。

なぜなら、授業を受けてくれる子どもたちの学力に合わせて教え方を変えたいからです。

ほとんどの場合、どのような学力層の子どもが授業動画を見ているか分からず、無償配信しています。

授業動画で学べる内容はほとんど変わりませんが、どのように教えてくれるかは動画によって違います。

1からていねいに解説してくれる動画もあれば、専門用語を理解している前提で授業が進む動画もあります。

さらに言えば、教え方が子どもに適していれば、学習の定着度は高まりやすいです。

本来なら、映像授業も 子どものレベルに合わせるべきものです。

そのため、教育者が 子どもの学力に合った授業動画を選んで見せる必要があると言えます。

 

ネット授業でできないことは塾で

先ほどお伝えしましたが、インターネット上で見ることができる無料の授業動画は、先生と直接 話をすることができません。

子どもは、質問したいと思ったときに質問できない状態だと、分からないことをスルーしてしまいがちです。

これを防ぐためには、やはり人に会って、分からないことを直接 質問できる環境を用意することが一番です。

親としてできることは、学習塾で分からないことをたくさん質問させてあげることです。

学習塾も、学校で学べないという状況を鑑み、子どもたちのために何かしたいという気持ちでいっぱいです。

ただ、コロナウイルスの感染が広がることや、まわりからバッシングを受けることを恐れて、塾の営業を一時的に取りやめるところが多いのも事実です。

ご家庭に高齢者の方がいらっしゃる場合はとくに不安なこととお察しいたします。

しかし、今も子どもたちは日々の生活から得られるものを学んでいる最中です。

身のまわりにいる大人が 将来に希望を抱く子どもたちのために、失われた教育の機会を取り戻させてあげてほしいのです。

 

塾は無料じゃないはウソ

お金

ここまでの話を聞かれた方は、次のように おっしゃいます。

「授業動画はタダだけど、塾の授業料はとても高くて行かせられない」

 

本当にそうでしょうか?

 

このような危機的な状況において、タダで勉強できない方がどうかしていると思います。

早い話が、塾の無料体験授業を複数か所で受ければよいだけです。 

近隣にある学習塾を制覇するつもりで、体験授業を申し込むのです。

ただし、体験授業が「無料」かどうかは各塾によって違うので、よくチェックしてくださいね。

 

親としては、体験授業を受けさせるための手続きが面倒かもしれません。

でも、無料で、人に直接質問ができるという環境がつくれるのです。

個人的には、これほど かんたんに、しかも タダで、教育の機会を取り戻す方法はないと考えます。

 

だから、学習塾での学びにお金がかかるというのは、ウソなのです。

各塾で受けられる無料体験授業の最大授業数を受けたら、次の塾、また次の塾へと体験授業を申し込んでいきます。

こうすることで、さまざまな教育者に出会うことができます。

そして、お子さまの特性なども見抜いてくれる講師にも出会うことができるのではないでしょうか。

もし、信頼できる講師に出会うことができたなら、その学習塾でしばらくお世話になるのも一つの方法ですね。

 

休校はいつまで続くのか

ここで気になるのが、休校措置はいつまで続くのかということだと思います。

急な休校措置に困惑されている方が多い印象です。

SNS上では、「コロナウイルスで、学校の有難みが分かった」とおっしゃる保護者の方もいらっしゃいます。

 

もし、現在言われているように、春休みまでで休校措置が解除されたとしましょう。

そうであれば、さほど大きな問題にならず、学習時間を取り戻すことができると考えます。

どの校種・学年であっても、休校期間は最大でもおよそ1か月です。

その間の学習を取り戻すことは比較的に かんたんでしょう。

 

ただ、不安なのが、休校措置が延長され、春休みまでではなくなった場合です。

コロナウイルスの感染拡大がいつまで続くかも分かりません。

実は、コロナウイルスの感染が拡大していることから、日本以外でも休校措置が取られているのです。

2020年3月4日に、ユネスコ(国連教育科学文化機関)が発表した次の内容をご覧ください。

13カ国・地域(中国本土、香港、マカオ、日本、北朝鮮、イタリア、イランなど)が全国規模で、学校を休校としている。
このほか、フランスやドイツ、パキスタン、韓国など9カ国でも、国内の一部地域にある学校を休校としている。
こうした休校措置により、約2億9050万人の児童・生徒が学校に通えなくなっている。

パリ 共同通信(2020年3月4日ユネスコの発表)


さらに、ユネスコの発表では、教育にかかる懸念についても表明されました。

・貧しい家庭ではインターネットがなく、遠隔授業に参加できないこと。
・働く親が仕事を休まざるを得なくなり、経済的損失を被る場合があること。

アズレ事務局長は、
「健康のための一時的学校閉鎖は以前からあるが、現状の規模は前例がない。
 長期化すれば教育を受ける権利が脅かされかねない
と警告されている。

パリ 共同通信(2020年3月4日ユネスコの発表)

 

この発表から、休校措置が長期化する可能性が0ではないことが読み取れます。

 

もし、来年度以降も このまま休校が続くことになれば、わたしたちの生活はどうなるのでしょうか。

そして、子どもたちの教育はどうなるのでしょうか。

 

休校が続くと学力は下がる

東日本大震災直後の様子(2011年)

未来のことは、だれも知りません。

しかし、過去の出来事から 今後どうなるか予想することはできます。

学校で歴史を学ぶのは、こうして過去の出来事から学び、今のために考えよという意味が込められているからです。

では、参考までに、2つの大震災とそれにかかる休校・学力について見てみましょう。

 

まずは、阪神・淡路大震災による事例です。

2008年、神戸市教育委員会によって編集・発行された以下の書籍から引用させていただき、お伝えします。

3学期の授業欠時数は、小学校低学年で50時間以内の学校が64校(37.0%)、51~100時間が60校(34.7%)、101~150時間が45校(26.0%)となっている。
 欠時数の分布では、低学年より中学年、高学年で欠時数が多くなる。さらに中学校、高校になると、欠時数が増加、およそ1/4の学校で151時間以上の欠時数となっている。このため、特に中学校、高校での教育課程の中で未修了の内容の補完が深刻な問題となった
 ― 中略 ―
授業時数が欠けたことによる子供の基礎学力(知識面)の変化も懸念された
 ― 中略 ―
基礎学力を、授業中のみ習得した知識や技能だけに限れば、授業時数の100時間以上もの欠落は「学力が劣った」ことにつながるかもしれない。しかし、「学力が劣った」という原因は、単に欠時数だけでは片付けられない。震災後の学習環境も大きく影響していると思われる。
 また、学校園では、十分運動できないために運動不足になったり、休憩時間に思いきり遊べず、授業と休憩時間との区別がつきにくくなったりと、体力面の衰えや集中力、持続力のなさも指摘されている。そのため、筋道を立て、落ち着いて考えることができず、学習に影響を与えたようである。
  ― 中略 ―
また、子どもたち自身にも危機感があった。震災に負けずにがんばろうと自分を励ましたり、学習環境の悪さを逆にバネとして、入試の準備に意欲的に取り組んだりしたケースも少なくない。
 震災に関わる基礎学力の変化については、意識調査だけで客観的な比較はできていない。基礎学力に変化があったかどうかの見きわめについては、これからの課題といえるだろう。

2008年 神戸市教育委員会 編集・発行
「阪神・淡路大震災 神戸の教育の再生と創造への歩み」

 

次は、東日本大震災にかかるデータです。

以下の記事は、兵庫県出身で灘高等学校3年生在籍中に阪神・淡路大震災を経験された前川直哉教授によるものです。

一つの参考として、東日本大震災と原発事故で多くの学校が長期休業を余儀なくされた福島県のケースを見てみよう(*)。
震災から4年後、2015年度の全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)の結果を見ると、中3生を対象とした数学A(基礎的な学力の達成度)では、福島県の平均正答率は61.2%と全国平均より3ポイントあまり低く、都道府県ごとの順位では44位となった。震災前は35位前後で平均を若干下回る程度だったことを考えると、震災後の数年で福島県の子どもたちの算数・数学の理解度は相対的に低下し、最下位グループに入ってしまったことになる(その後には現場の先生方の懸命な努力もあり、持ち直しが見られる。国語はほぼ毎年、全国平均レベルである)。

この年の中3生は、小学4年時の3月に東日本大震災を経験した学年だ。原発事故の影響で避難や転校を余儀なくされたケースも多く、また県内にいてもなかなか勉強に集中できない日々を過ごした子どもたちが多かった。小学5年が中学以降の数学につながる算数の重要単元を数多く習う学年だということを考えると、小5の学年はじめという大切な時期に勉強に専念できなかったことは、大きなハンディになったと思われる。
震災・原発事故時には他県へ避難・転校した子どもたちも多く、今回の全国一斉休校のケースに単純に当てはめることはできない。だが公教育の突然の長期休業が、子どもたちの学力に与える影響が少なくないことは、こうしたデータからも推察できよう。

(*)前川直哉「福島県の教育環境と「ふくしま学びのネットワーク」の活動」
 『NEWS LETTER超学際』34号,2015年

2020年3月5日 MRIC by医療ガバナンス学会 発行
Vol.044 臨時休校:子どもたちの「教育を受ける権利」を守れ
福島大学特任准教授 前川直哉

 

とくに被害の大きかった地域では、震災後しばらくの間、学校で教育を受けることはできませんでした。

つまり、休校が一つの原因となり、子どもたちの学力を低下させることなってしまったと考えられるのです。

 

これら大震災の事例は、現在のコロナウイルスによる休校と同じでしょうか。

まったく同じではないと わたしは考えます。

なぜなら、勉強以外に割かなければならない時間が生じていないからです。

大震災では、多くの方々が犠牲になり、家の後片付けなど 子どもたちも復興に尽力していたと聞きます。

それに比べて今回のコロナウイルスによる休校は、家で教科書を眺めたり、春休みの課題に取り組んだりできるため、学習する時間はあると言えます。

さらには、インターネット上に各種 映像授業も配信されており、意欲と環境さえあれば学習は続けられます。

こうしたことが大震災のときとは大きく違います。

 

であれば、震災時のように、学力低下は起きるのでしょうか。

先ほどお伝えした 阪神・淡路大震災後の記録の言葉を拝借すると、

「学力が劣った」という原因は、単に欠時数だけでは片付けられない

2008年 神戸市教育委員会 編集・発行
「阪神・淡路大震災 神戸の教育の再生と創造への歩み」

のです。

つまり、授業を受けられないということ以外にも、学習環境や運動不足など、学力低下の要因になりうることがあるのです。

 

休校中にやるべきこと

いつまで休校措置が続くか分からない状況だからこそ、長い目で子どもの教育を考える必要があると言えます。

最後に、一人の教育者であるわたしから、保護者の方に勧めたいことを3つ紹介しますね。

1.学習環境を整えること
 ネット環境を整えたり、学習塾に行かせてあげたりして、教育の機会・時間の確保をしてあげましょう。
 文部科学省のサイトでは、新型コロナウイルスに伴う臨時休業期間における学習支援コンテンツが配信されています。ぜひご覧ください。

2.運動を促すこと
 休校でなければ、体育の授業等で運動します。運動することで、体力がつき、代謝も活発になります。
 家の中に引きこもりがちであれば、気分転換にもなり、ストレス発散にもつながります。

3.アナログの遊びを促すこと
 子どもは、放っておいても遊ぶ傾向があります。
 だからこそ、パズルや知恵の輪など、アナログの遊び道具を家に置いておくのです。
 同じ 手と頭を使うデジタルゲームよりも目が疲れず、脳も活性化されます。
 そして、集中力を磨くのにもうってつけです。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

少しでも早く、公教育が再開されることを願って。

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