学校【再開】その前にやるべきこと
学校の再開に向けて、準備は進んでいらっしゃいますか。
今回は、学校の授業が再開する前に、お子さまのために行っていただきたいことをまとめました。
目次
規則正しい生活
第一は、お子さまの「生活リズムを整えること」です。
お子さまの学校生活がスムーズに始められるかどうかは、生活習慣によって左右します。
今、お子さまが夜遅くまで起きているようなことはありませんか?
もし、そうであるなら、早めに入浴させ、早めに身体を「寝るモード」にさせてあげましょう。
または、早く寝かせているはずなのに、翌朝、なかなか起きてこないということはありませんか?
この場合、もしかしたら、こっそりと夜更かししているかもしれません。
こうした夜型の生活のままでは、いざ学校が再開したときに、だるさを感じることがあります。
さらには、身体がついていかず、学校に行きたくないと言い出すお子さまもいらっしゃいます。
それが続けば、不登校ぎみになって勉強も分からなくなり、余計に学校に行きづらくなってしまいます。
これを防ぐために、休校になる前と同じような、朝型の生活リズムに戻してあげるのです。
夜遅くまで起きているお子さまに対しては、一度、学校に行く日と同じ時間に起こし、生活リズムをリセットさせましょう。
お子さまは、ラクを求める傾向にあり、朝早く起きた日も、夜遅くまで起きているようなことがあるかもしれません。
または、夜遅くまでスマートフォンなどを見ているようなことがあるかもしれません。
そこは心を鬼にしていただき、少しでもお子さまの就寝時刻が早くなるようにサポートをお願いします。
「もう夜10時だよ。また明日6時に起こすからね。」などと、お子さまとコミュニケーションをとるとよいでしょう。
スマートフォンの管理
生活リズムを整えるために、切っても切れないのが、ゲームやスマートフォンです。
わたしが正規教員をしていたとき、学期の途中から、学校に来られなくなってしまった生徒が何人かいました。
その生徒の中には、「夜遅くまでゲームやスマートフォンをしていて朝起きられない」という子が何人かいました。
その生徒の保護者の方は、病院で我が子が「依存症」と診断されるまで、ゲームやスマートフォンを無制限で使わせていたというのです。
学校側も口酸っぱく「ご家庭では、時間を決めて使わせてあげてください」と伝えているものの、一部の方にご理解いただけないのが現状です。
実際に、お子さまが「依存症」という診断を受けない限り、「うちの子は大丈夫」と思い込んでしまうということなのでしょう。
研究論文でもすでに発表されている通り、ゲームやスマートフォンには、依存性があります。
さらには、次の書籍には、恐ろしいことが記されています。
インターネット依存の若者の脳では、麻薬中毒患者の脳に起きているのと同じことが起きている
文春新書「インターネット・ゲーム依存症 ネトゲからスマホまで」
著者:岡田尊司
上記の書籍では、脳の分析をもとに、薬物と同程度の依存性があることが示唆されています。
また、それが睡眠障害や学業成績の低下などにもつながると書かれています。
気になる方は、一度手に取って読んでいただくことをお勧めします。
わたしたち大人も、知らず知らずのうちに、インターネット依存の道を歩んでしまっているのかもしれません。
怖いですね。
大人の場合は、ある程度自覚があるため、自分で管理することができます。
しかし、子どもの場合は、自覚がないうえに依存性の恐ろしさを知らず、好き放題使う傾向にあると言えます。
そこで、保護者の方に 今一度、ゲームやスマートフォンの使い方を見直していただく必要があるのです。
とくに、生活の一部と化している「スマートフォン」には注意が必要です。
保護者の方の中には「フィルタリング機能」を使っているから安心だという方がいらっしゃいます。
残念ながら、この機能でできるのは、お子さまを有害な情報から守ることだけです。
インターネットの依存性からお子さまを守ることはできません。
では、まずはご家庭でのルール作りから紹介します。
具体例は次の通りです。
- 食事中はゲームやスマートフォンを触らない、見ない。
- 夜10時以降はスマートフォンを親に預ける。
- SNSは、午後3時から午後10時までの間で使う。
- 1日のうち2時間はスマートフォンから離れる。
- 通知設定をOFFにし、スマートフォンが鳴らないようにする。
(通知があるたびに見ないようにする。)
先ほどの書籍には、保護者の方がこうしたルールを設けることは「義務」だと書かれています。
その他に、スマートフォンの使用時間を管理してくれるアプリなどを使う手があります。
「Googleファミリーリンク」というものがGoogleから出ていますので、これを導入するとよいでしょう。
もし、上記のように管理しようとしたとき、お子さまがキレたり暴力を振るったりした場合、もしかしたら自分をコントロールできなくなっている状態、つまり、依存の傾向があるかもしれないと考えられます。
現代の子どもたちは、あふれるほどの情報の中で生きています。
そして、その情報の多くは、あらゆる「つながり」から得るものです。
今の子どもたちには、「SNSを使いこなせないと、まわりの子から置いていかれる」という概念もあるようです。
今は依存症の疑いがなくても、何もしないよりは管理してあげた方がお子さまのためになります。
お子さまがスマートフォンなどを使いこなして、うまく人と付き合えるようにサポートしてあげましょう。
体調の管理
スマートフォンの管理とともに大切にしていただきたいことは、「体調」の管理です。
学校の授業でも学びますので、お子さま自身もご存知のことと思います。
きちんとした食事と睡眠をとり、適度な運動をすることが体調管理の基本です。
そうして、健康的な生活を送ることによって、身体の免疫力も維持することができます。
まだコロナウイルスの渦中にありますので、こうした基本的なことから、お子さまの健康を保ってあげてください。
学習のチェック
休校期間中、学校から課題や宿題が出されています。
それらの提出日は確認されましたか?
多くの場合は、休校が明けて すぐに提出期限を迎えます。
この課題は、毎日コツコツこなしていれば、まったく苦にならない量です。
しかし、休校中に勉強をおろそかにしていた場合、かなりの量の課題が溜まってしまいます。
翌日から登校が再開するというときに、大慌てで課題に取り組み始めても、かんたんには終わりません。
さらに、提出の締め切りがある課題は、たいてい成績に加味されます。
早い話が、ふだんテストで思うように点数が取れない子ほど、課題をきちんとやって、きちんと提出すべきなのです。
このような課題提出による成績点は、教員の間でよく「平常点」と言い、テストの点数を「素点」と言います。
教員が成績・評定をつけるとき、「平常点」は「素点」と区別して付けます。
つまり、これから行われるテストの点数(素点)とは関係なく 加算してもらえる点数(平常点)をこの休校課題で稼ぐというわけです。
文部科学省からも、休校期間に出した課題等について、平等・公平にチェックできるのであれば、評価の判断材料に入れてもよいという通知が出されています。
このことからも、休校になってから出された課題はきちんと取り組み、期日までに提出すべきなのです。
もし、お子さまが休校中の課題を軽く見ておられた場合、テストでいつも以上の点数を取らなければならなくなるでしょう。
そうして、課題をやらなかっただけで、学校が再開してからツラい目に遭ってしまいます。
これを防ぐために、せめて「学校の課題・宿題は、計画的に進んでいるの?」とお子さまに声をかけてあげてください。
また、レベルの高い子は、学校から出されている課題だけで満足しないようにさせる必要があります。
詳しくお伝えすると、予習をするように促してあげるのです。
おそらく、ほとんどの学校で、インターネットなどを利用した遠隔授業を行っていることと思います。
この遠隔授業では、教科書の内容を順次進めています。
レベルが高ければ、その遠隔授業の先を学ばせる「先取り学習」をさせましょう。
先取り学習と言っても、教科書から学べることに限られますので、難しい問題に取り組ませる場合は、別でハイレベルの教材を用意するとよいでしょう。
とくに新しい教材を購入せずとも、教科書の章末問題を解いてみたり、ワークの発展問題に取り組んでみたりすることもOKです。
また、教科によっては、次のことに取り組むこともお勧めします。
- 算数や数学
教科書やワークの計算問題に繰り返し取り組み、問題を解くスピードと正確性を上げておくこと。
- 英語
教科書を音読して、英単語と発音、意味を学んでおくこと。
- 国語
教科書の題材を読み(できれば音読し)、筆者が伝えたいことを感じとること。
お子さまにとって、新しい内容を学習することは怖く感じられる場合があります。
この恐怖を払拭しておくためにも、あらかじめ、教科書を読んでおくことは効果的です。
わたしたち、教育者は、
「これから、どのようなことを学ぶのかな」
と、自ら探究する子どもに育ってほしいと願っております。
なぜなら、勉強は、誰かに教えられて成り立つものではないからです。
人から言われてしか勉強できない人は、いつか どこかで行き詰まります。
お子さまの将来のために、今から、自分で勉強するよう促してあげましょう。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
お体に気をつけてお過ごしください。